ベトナムと日本の教育の現状の違い

■教育制度

  • ベトナムでは、1998年に「教育法」が初めて制定され、6~14歳を対象に5学年の初等教育を義務とする義務教育制度を制定した。2005年には同法の全面改正が行われ、義務教育を9年間に延長している。しかしながら、都市部を除く地域ではいまだ小学校5年間が義務教育とされているのが実態である。

 

  • 日本では、1947年に公布された学校教育法により義務教育を9年とする現在の教育体系が作られた。社会の成熟に伴い今は幼稚園入園や高校進学をする人がほとんどとなっているため、幼稚園の1年間と高校3年間までの期間を追加した13年間を義務教育とする案も出ているが、受験や費用などいろいろな面での改善が必要となり、なかなか実現は難しいと思われる。

 

■ベトナムにおける都市部と農村部の教育格差の現状

農村部では経済的に厳しい家庭の子どもが就学機会に恵まれないことがある。それには以下の要因が考えられる。

  • 公立小学校でも教科書代が有料である
  • 設備費を集めている学校も多い
  • 中学校、高校は補習授業を有料で行う学校もある

教育に関する課題では、地域により教員の学歴構成などに格差がある。その格差を埋めるために、都市部の教員の僻地への移動を促すが、赴任を希望する教員が少なく、特に地方教員の質的量的不足の原因となっている。また、中央政府は教員に事前の指導案作成および提出義務を課しているため、教師はその作成と準備に追われ柔軟性のない授業を展開していることが多い。

 

■ベトナムの特殊学級の現状

 

 

  • 障がい児の就学率を70%以上に高めるために、通常学級におけるインクルーシブ教育、障がい児学級におけるセミ・インクルーシブ教育、特別学校における特別教育の3つの形態を構成し、教育展開しているが、目標は未達成である。
  • 障がい児が活動する場として、教育訓練省(MOET)管轄の正規の学校だけではなく、労働傷病兵社会省(MOLIST)や保険省(MOH)などの施設においても教育が行われているが統計は把握できていない。
  • 障がい児教育教員養成のため、2001年に障がい児教育学部が創設された。開設当初視覚障害、聴覚障害、知的障害の3つの専門教育であったが、2012年からは自閉症の分野が加わった。
  • ハノイ市にあるバクマイ(Bac Mai)小学校は、通常学級のほかに2つの自閉症児のための学級と1つの知的障害、ほかの障がい児学級が設置されている。

 

■日本の特別支援教育

 

  • 盲・聾・養護学校の生徒数を見ると、知的障がい者が大きく増加している。
  • 障がいが重いため通学できない子どもに対しては、教員が家庭、施設、病院などに出向いて指導する訪問教育が行われている。
  • 盲・聾・養護学校(小・中学部)に在籍する児童生徒のうち現在半数近く(肢体不自由養護学校においては、約4分の3)の児童生徒が重複障がい学級に在籍している。

 

■日本の特殊学級(通級)について

小・中学校の通常の学級に在籍している障害の軽い子どもが、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、障がいの状態等に応じた特別の指導を通級指導教室で受ける指導形態である

 

■ベトナムと日本学習教科比較表

 

  • ベトナムの主な学校種別は、公立学校、私立学校、国際学校である
  • 英語と技術は小学校3年生からの選択教科。国語と算数は全学年において基幹教科として重視されている
  • 基本的に学期末や学年末に試験が行われ、全科目において合格しなければ進学や卒業が認められず留年となる(3年留年すると退学)
  • 2016年度からの新しいカリキュラムでは、21世紀型スキル(問題解決能力、ICT活用能力、コミュニケーション能力など)を重要視し、道徳的、知的、身体的に熟達し、習得したことを現実世界に適用できる「理想的な修了生(ideal graduate)」を生徒像として目指している
  • (株)ヤマハは現地の小学校を支援し、リコーダーを使った音楽クラブ課外活動を行っている。2018年の学習指導要領改定に向け、ベトナムでは音楽で楽器を使用することが少ないこともあり、モデル授業として取り組まれている。カリキュラムは2018年にも改定する予定である

 

■ ベトナムと日本の大学入試の違い

  

 

 

■年間授業数や1コマの実時間の比較

 

 

◆ベトナムの教育課題

  • 1000時間に授業時間(二部制は年間約660時間)が達していない。二部制が採用されている理由は、学校の不足や児童の集中(都市部)、子どもの農作業の手伝いが必要(農村部)だからである。
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■今後の教育

2018年に約40年ぶりに学習指導要領を改訂する予定のベトナム。日本も2020年の教育改革に向けて10年ぶりに全面改訂を予定している。変化の激しい時代を生きる子どもたちが、未来を切り開いていける資質・能力を身に付けられるよう、学校教育・大学入試が大きく変わろうとしているのである。